2月19日、都内にて第22回「チーム新・湯治」セミナー(環境省)が開催された。
今回のテーマは「温泉地の観光まちづくり」。温泉地の観光まちづくりをテーマに、行政・研究者・現場の実践者が一堂に会した。
冒頭、環境省自然環境整備課温泉地保護利用推進室の村上靖典室長より挨拶があり、環境省が提案する「新・湯治」の趣旨とともに、旅行者ニーズの変化や人口減少・高齢化により、かつての賑わいを失いつつある温泉地が増えている現状が示された。さらに、日本の温泉文化をユネスコ無形文化遺産へ提案する方針が政府として決定したことにも触れ、国内外からの関心の高まりを追い風に、関係省庁と連携して温泉地の取り組みを後押ししていく姿勢が語られた。

國學院大學観光まちづくり学部梅川智也教授
続く基調講演では、國學院大學観光まちづくり学部の梅川智也教授が「観光地経営の重要性と温泉まちづくり」をテーマに登壇。温泉地は個々の旅館やホテルの集積ではなく、地域全体として魅力を高める“観光地経営”が必要であるとし、持続可能性を目標に、ビジョンの共有、推進組織の整備、安定財源の確保を「三位一体」で進める重要性を強調した。また、平日と休日、季節変動といった課題に対して平準化・滞在化を図ることや、DMO/DMC/観光協会の機能整理など、実装に向けた具体的な視点も提示された。
國學院大學観光まちづくり学部梅川智也教授事例発表では、阿寒湖温泉、湯河原温泉、長門湯本温泉の取り組みが紹介された。阿寒湖温泉からは、入湯税の超過課税による財源確保と、その活用を通じたまちづくりの実践が報告され、財源を地域内に循環させる仕組みづくりの可能性が示された。続く湯河原温泉、長門湯本温泉の発表でも、地域資源を活かした魅力づくりや温泉街再生の工夫が共有され、講演者によるパネルディスカッションと質疑応答を通じて、各地が直面する課題と具体的な打ち手が多角的に議論された。温泉文化への注目が高まる中、温泉地が「地域としての経営力」を高めることの重要性を改めて確認する機会となった。今回の議論からは、温泉地の価値が宿泊施設の枠を超え、地域全体で創り上げられるものへと広がっていることが明確に示された。飲食や文化、自然体験を含めた面的な魅力づくりが、持続可能な温泉地経営につながる。Jウエルネスの視点から見れば、それは地域全体が一つのウェルネス空間へと進化していくことを意味する。温泉地が地域ぐるみで来訪者を迎える流れは、今後さらに重要性を増していくだろう。
