「介護美容」を社会に定着させる新たな基盤へ
~ 一般社団法人日本介護美容協会が設立発表会を開催
一般社団法人日本介護美容協会は7月13日、都内で設立発表会を開催した。会場では協会設立の趣旨や今後の事業方針が発表されたほか、理事・顧問・アドバイザリーボードの紹介、介護美容の事例発表、ガイドラインの披露などが行われた。代表理事には、介護美容人材の育成と介護施設へのサービス提供を行う株式会社ミライプロジェクト代表取締役の山際聡氏(写真下)が就任した。

株式会社ミライプロジェクト代表取締役の山際聡氏
美容を通じて、その人らしい生活と尊厳に寄り添う
山際氏は、同社が約10年間にわたり介護美容に取り組み、約5,000名の人材を育成、現在は毎月約3,500~3,600名、年間延べ約3万5,000名へサービスを提供していることを紹介した。介護美容を通じて利用者の表情が明るくなり、会話が増え、家族や施設職員との交流が生まれる場面を数多く見てきたと振り返り、「介護美容は外見を整えるだけではなく、生活への意欲や人とのつながりを支えるケアになり得る」と語った。一方で、活動の広がりとともに、必要な知識や技術、安全性の確保、医療・介護との連携など、共通の基準づくりが求められる段階に来ていると説明。各分野の専門家とともに協会を設立し、「美容を通じて、その人らしい生活と尊厳に寄り添うこと」をコンセプトに掲げた。
資格認証・認定・研究活動を3本柱に
協会では、①資格認証制度、②認定制度、③研究活動を柱に事業を展開する。資格認証制度では介護美容に必要な知識・技術・安全性の基準を整備し、認定制度では認定校や認定サロン、認定企業との連携を進める。また、研究活動では介護美容が利用者に与える効果をデータとして蓄積・発信し、科学的な根拠づくりを進めていく。
制度外サービスとしての介護美容に期待
名誉顧問には諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏、顧問には高齢者住宅新聞社代表取締役の網谷敏数氏が就任した。乾杯のあいさつに立った網谷氏は、介護保険制度改正などの議論に触れ、「制度だけに依存するのではなく、インフォーマルサービスを社会に広げていく必要がある」と指摘。自立や生きがい、美容につながる介護美容への期待を示した。
医療・美容の専門家が協会を支える
理事には、認知症予防研究の浦上克哉氏(鳥取大学医学部保健学科認知症予防学講座〈寄付講座〉教授)、皮膚科専門医の川島裕平氏(東京都済生会中央病院)、メイクアップアーティストとして70年以上の活動を続ける小林照子氏(㈱フロムハンド代表取締役会長・写真下)が就任した。浦上氏は介護美容の認知症予防への可能性に期待を示し、川島氏はフットケアやネイルケアの重要性と、安全性や法令順守の必要性を強調した。小林氏は、「介護美容は何度も挑戦し、挫折も経験した一番難しい分野だった」と振り返りながらも、「美容やメイクには、生きる力や輝く気持ちを与える力がある」と述べ、自身の経験を協会の発展に役立てたいと語った。

理事の小林照子氏があいさつ(㈱フロムハンド代表取締役会長)
JWM視点
介護美容は、単に高齢者へ美容サービスを提供する取り組みではない。外見を整えることを入り口に、その人らしい生活や尊厳、人とのつながりを支える新たなケアとして期待が高まっている。今回、資格認証、認定、研究活動を柱とする協会が設立されたことで、介護美容は個々の実践から、専門性とエビデンスを備えた社会的なサービスへ発展する新たな段階に入ったといえる。医療・介護・美容が連携し、新たなケアの価値を創り出す取り組みとして、今後の活動に注目したい。
