レジャー白書2026から読み解く
「余暇」の変化が示すウェルネス市場への新たな課題
公益財団法人日本生産性本部は7月16日、「レジャー白書2026(速報版)」を公表した。2025年の調査では、「国内観光旅行」が4年連続で参加率1位となった一方で、人々が感じる余暇時間や余暇支出のゆとりは、ともに減少へ転じた。ウェルネス産業とも関わりの深い余暇活動に着目すると、今回の調査からは旅行の順位以上に、「余暇そのものの質」の変化が見えてくる。

図1 余暇時間のゆとり感指数・余暇支出のゆとり感指数の変化
時間にも、お金にも余裕が減少
今回の調査では、余暇時間、余暇支出ともに「ゆとり感」が低下したことが示された(図1)。健康への関心は高まり続けている一方で、人々が自由に使える時間やお金には変化が見え始めている。ウェルネスに限らず、多くの余暇活動は、こうした生活者の環境変化の影響を受けることになりそうだ。
「余暇重視」にも変化の兆し
価値観にも小さな変化が見られた。「仕事より余暇を重視する」と考える人は依然として多数派であるものの、その割合はわずかに低下した(図2)。一度の調査だけで大きな変化を断定することはできない。しかし、ここ数年続いてきた「余暇重視」の流れに、変化の兆しが見え始めた可能性はある。物価上昇や将来への不安など、社会環境の変化が、人々の余暇に対する意識にも影響しているのかもしれない。

図2 仕事と余暇のどちらを重視するか:「余暇重視派」が多いものの、前年より減少
若年層に見えた価値観の変化
年代別の結果では、「仕事よりも余暇に生きがいを求める」と回答した割合は30代が最も高かった(図3)。一方で、20代では30代よりも「仕事に生きがいを求める」と回答した割合が高くなっている点も興味深い。一般には、若い世代ほど余暇を重視するというイメージがある。しかし今回の結果は、そうした見方だけでは捉えきれない一面を示しているようにも見える。もちろん、この調査だけで背景を断定することはできない。働き方やキャリア観、経済環境など、さまざまな要因が考えられるが、若年層の価値観に何らかの変化が生じている可能性を感じさせる結果と言えるだろう。

図3性別・年代別仕事と余暇のどちらを重視するか(2025):若年層は「余暇重視派」が多い一方で、「仕事に生きがい」も比較的多い
ウェルネス産業への示唆
「レジャー白書」は余暇行動をまとめた調査である。しかし、温泉、サウナ、スパ、森林浴、ウォーキング、リトリートなど、多くのウェルネス活動は余暇の時間の中で行われる。そう考えると、今回の結果はウェルネス産業にも重要な問いを投げかけている。レジャー市場の変化は、そのままウェルネス市場を取り巻く環境の変化でもある。人々の暮らしや価値観が変わり始める中で、ウェルネス産業もまた、その変化を見つめ直す時期に来ているのかもしれない。
JWMの視点
今回の調査で最も気になったのは、「余暇時間」「余暇支出」「余暇重視」の三つがそろって変化の兆しを見せたことである。ウェルネス市場は拡大していると言われる一方で、その土台となる余暇は、以前ほど時間的にも経済的にも余裕を感じにくくなっている。さらに30代と20代では、生きがいを求める対象にも違いが見えた。若い世代の価値観は、これまでのイメージだけでは語れなくなっているのかもしれない。
これからのウェルネスに求められるのは、「より高価なサービス」や「より長い滞在」を目指すことだけではないだろう。限られた時間の中でも心身の充実を実感できる体験や、日常生活に無理なく取り入れられる価値をどう提供できるか。今回のレジャー白書は、ウェルネス市場の未来を考える上でも、多くの示唆を与えているように感じた。
