イタリアは「健康長寿」をどう世界へ発信するのか~MeDiet Japan 2026発表会から見えた新たなウェルネス戦略

イタリアは「健康長寿」をどう世界へ発信するのか

MeDiet Japan 2026発表会から見えた新たなウェルネス戦略

在日イタリア商工会議所は、20261016日・17日に東京・国連大学で開催する国際シンポジウム「MeDiet Japan 2026」のプレス発表会(7月1日)を開催したMeDietは、地中海食(Mediterranean Diet)の普及から始まったプロジェクトである。今回のテーマは「より長く、より健やかに生きるために」。食文化だけではなく、健康長寿というライフスタイルそのものを考える国際シンポジウムとして開催される。世界有数の長寿国であるイタリアは、「健康に長く生きる」という価値をどのように発信しようとしているのか。発表会から、その方向性を探った。

イタリアが語る「長寿」とは

発表会では、まず在日イタリア商工会議所(ICCJ)のダヴィデ・ファントーニ事務局長(ゼネラルマネージャー)が登壇した。2009年から同商工会議所を率い、日本とイタリアのビジネスや文化交流を推進してきたファントーニ氏は、「イタリアといえば、食やファッションのイメージが強いが、医薬品や化学、テクノロジーも重要な産業である」と紹介。その上で、「長寿を食事だけで説明することはできない」と語った。 平均寿命は世界的に伸び続け、日本は世界有数の長寿国であり、イタリアも欧州を代表する長寿国の一つである。 さらに、イタリア・サルデーニャ島(アイキャッチ写真)、日本・沖縄県、ギリシャ・イカリア島は、世界でも数少ない「ブルーゾーン(長寿地域)」として知られている。 その共通点は食事だけではない。日々の身体活動、人とのつながり、人生の目的、ストレスとの付き合い方など、ライフスタイル全体が健康長寿を支えているという考えを示した。

 

92歳の母が語る「長寿」のヒント

発表会では、ファントーニ事務局長が92歳になる母親の暮らしを紹介した。 毎日ジムへ通い、友人とアペリティーボを楽しみ、週末にはダンスへ出掛ける。そして、「過去は過去。大切なのはこれから」と考え、自分を92歳だと意識して生活していないという。  医学や栄養だけでなく、生き方や人とのつながりも健康長寿を支える重要な要素であることを印象づけるエピソードだった。

10月、東京で「健康長寿」を議論する国際シンポジウム

MeDiet Japan 2026は、1016日・17日の2日間、東京・青山の国連大学を会場に開催される。 16日は医療や研究者を中心とした国際シンポジウム、17日はワークショップやライフスタイルをテーマにしたプログラムを予定しており、専門家だけでなく一般参加者も健康長寿について学べる構成だ。 南カリフォルニア大学のヴァルター・ロンゴ教授をはじめ、北里大学の山田悟氏、スペイン国立がん研究センター元所長のマリア・ブラスコ氏など、老化研究や栄養学、ライフスタイル医学の第一人者が登壇する予定だ。 また、イタリア・サルデーニャ島のブルーゾーンに位置する自治体からも関係者が参加し、地域に根付く長寿文化について紹介する予定となっている。

サルデーニャの伝統パスタ フレーゴラ

「健康寿命」を延ばすために何が必要か  山田悟氏が語る最新の栄養学  

北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟氏は、糖尿病は血管を中心に全身の老化を早める疾患であり、健康長寿を考える上で食事は重要なテーマだと説明した。その中で印象的だったのは 「油を控えることが健康につながるという考え方は、20世紀の栄養学」という言葉。 近年の研究では、オリーブオイルなど良質な油を適切に摂ることが、血糖管理や血管の健康維持に役立つことが示されているという。山田氏は自身が提唱する「ロカボ(緩やかな糖質制限)」や「オイルファースト」の考え方にも触れ、地中海食との共通点を紹介した。さらに、健康寿命を延ばすためには、食事に加え、運動や日々の生活習慣を含めた総合的な取り組みが重要であると語った。

J-Wellness Media視点

イタリアが今回発信しようとしているのは、地中海食を入口に、「健康長寿」というライフスタイルの価値である。一方、日本にも温泉や湯治、発酵、四季の暮らし、地域文化など、世界へ発信できる健康資源が数多く存在する。世界が健康長寿を競う時代、日本はどのような価値を世界へ発信していくのか。今回のMeDiet Japan 2026開催のプレス発表会は、その可能性を改めて考えさせられる発表会だった。